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2018.09.11

なぜ問題なのか?


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戸建ての小さな裁判官官舎が数棟並んでいた跡地であるこの土地を、国から奈良県が取得したのは2005年(平成17年)7月1日のことです。古都保存法の目的に適合するように管理し、奈良公園周辺の歴史的風土を保存・承継しようとする目的の下、同地は奈良県に取得されました。

れにもかかわらず、同地の管理者にあたる奈良県知事は、原則的にホテルなどの施設を建設することができない歴史的風土特別保存地区内の奈良公園に接した地にあった同地を、奈良公園に編入し、都市公園である奈良公園の便益施設であると称して、民間会社にリゾートホテルを建てさせようとしています。どうしてこのようなことができるのでしょうか。

もそも、都市公園に便益施設として宿泊施設を建設することは、特別な場合に限られています。そのように決められている理由は、都市公園に、公園という地の利を利用して、専ら営利目的で宿泊施設を建てさせないようにするためです。例外的に都市公園に宿泊施設を建てることができるのは、市街地から相当の距離がある公園であって、周辺に旅館やホテルなどの宿泊施設がないというような場合です。そのような都市公園では、宿泊施設がなければ、一般市民が、そのような都市公園を十分に楽しみ、利用することが困難となるからです。

回、奈良県知事が、奈良公園に編入した同地に、民間会社に建てさせようとしている宿泊施設は、わずか30室規模の高級リゾートホテルです。1泊20万円という話もあります。このような、一部の金持ちにしか利用できないリゾートホテルが、一般市民が都市公園を十分に楽しむ助けになることはあり得ません。また、奈良公園は、奈良市という市街地に接し、周辺には多くの旅館やホテルが存在し、稼働率にも余裕があります。どのように考えても、奈良県知事が同地に建てさせることを計画しているリゾートホテルが、都市公園である奈良公園の便益施設として例外的に建てることができる施設とは言えません。同地に高級リゾートホテルを建てることができるとする奈良県知事の説明は、私達一般市民を欺いているものと評価されても仕方がないものです。

もそも、同地がもともと含まれていた奈良公園周辺の歴史的風土特別保存地区は、奈良公園に接する同地区の歴史的風土を、私達の共通の財産として大切に守り、後生に引き継いでいこうとするものです。このために、宿泊施設などを自由に建設し営業することもできないのです。言うまでもなく、奈良公園もまた、豊かな自然と歴史とが織りなす景観を有する私達の大切な財産で、私達一般市民が、等しくこれを楽しみ享受することができるもので、私達の子孫もまたこれを楽しみ享受できるよう、大切に引き継いでいこうとしているものです。

こに一部の金持ちしか利用できない高級リゾートホテルが建つと言うことは、奈良公園の一部が、一部の金持ちだけ利用できる場所になるということを意味しています。にもかかわらず、どうして奈良県知事は、偽りの説明をし、同地の豊かな自然と歴史的景観を破壊してまで、高級リゾートホテルの建設を推し進めるのでしょうか。しかも、民間会社が建設・運営する同地を、ホテル建設に適した地とするために整備するお金として、とりあえず、奈良県が2億2500万円ものお金を出すというのです。

のようなおかしなことが、許されていいはずがありません。私達は、声を大にして、反対します。
 

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奈良公園の環境を守る会 / 高畑町住民有志の会
古都奈良・自然と文化遺産を守る会
奈良公園の環境を守る弁護団

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