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2017.03.23
奈良県議会(3月3日)における、荒井正吾知事の答弁を入手
(3月3日の奈良県議会議事録 日本共産党作成)
奈良公園における開発事業について、宮本次郎議員による荒井知事への質問が行われました。荒井知事の答弁は、奈良の既存ホテル事業者をあたかも愚弄(ぐろう)する内容であり、とうてい所轄する行政の知事の発言とは思えません。本来、地元事業者を擁護し支援するのが知事の職務ではありませんか? ミシェランの星の数にこだわられているようですが、そのようなホテルをお建てになりたいのなら規制外の土地にお建てになればいいわけです。
昭和34年の国際ホテル建設計画が中止になったのは4階建の大きな規模のホテルだったが、今回は上質で小規模だから許されるべきだと発言されています。しかし、私たちははホテルの規模や質を問題にしているのではありません。厳しい規制で守られてきた土地を守るべきだと申し上げているのです。
これほど地域住民が反対し、厳しい法規制のかけられた土地に、なぜ知事はそこまでして10室から20室のホテル建設することに固執するのか? 地域住民の疑念はますます深まります。
① 奈良公園内・吉城園周辺地区整備事業および高畑裁判官官舎跡地整備事業における“高級ホテル”の重要性について
宮本議員からの質問:
知事は「奈良県の宿泊施設は不足している」ということを前提に高級ホテルの建設を進めていますが、果たしてそうと言えるのか。日本政策投資銀行が行った「関西4都市、宿泊施設業界調査」によると2015年の奈良の宿泊施設需給状況は、649室が余っている、との調査結果。2030年の長期予測でも奈良宿泊施設室数は“余る”との結論されている。また、宿泊料金が高く、一部の人しか利用出来ない高級ホテルを建設するのは、とても無理があるのではないでしょうか?
荒井知事による答弁:
奈良県の宿泊施設稼働率が低い要因として考えられるのは、部屋のホコリが目立つ、施設が暗い、洗練されていない、スタッフの態度が悪いなど、残念ながら宿泊客の期待値を下回る評判の悪い施設が奈良には多いといった実態がある。また、奈良の宿泊施設の弱点はバラエティの少なさにもある。特に世界の有力な旅行者に宿泊してもらえるような国際ブランド級ホテルがなく、奈良を訪れたそのような方は奈良で宿泊されずに大阪や京都で宿泊されます。世界を巡られる方は、サイトの情報で選ばれるわけで、サイトの情報が悪ければ泊まらないで素通りしようというのが今の観光の動向です。今、必要なのは奈良のブランド力を高める上質な宿泊施設。そのような施設は、奈良県ではまだまだ不足しており、ミシュランの4つ星、5つ星にランクされているホテルは奈良には皆無といった状況でございます。これでは世界の遠くから来られる観光客は奈良をサイトで宿泊地に選ばれるはずがございません。よって観光商品が奈良では造成できない。奈良が主たる目的地となる旅行商品が東京をはじめとする有力観光客発生地でほとんど見かけないのは、上質な宿泊施設がないからです。また、上質な宿泊施設が来て、それを手本にすることで、現在低いレベルにある県内の宿泊施設全体のサービスが上がるものと認識している。
② 開発を進める方法について
宮本議員からの質問:
吉城園周辺地区整備事業では、地元である水門町自治会集会にお邪魔した際に住民より「そんな話は初耳だ」、「ただの一度も説明会は開かれていない」という声が続出していた。また、高畑裁判官官舎跡地整備事業についても、過去に2回住民説明会が開かれましたが、反対の声が多数上がったにもかかわらず、「反対の声はほとんど無い」などと言って進められています。住民との協議、合意形成の問題もあります。検討委員会で随分、検討を重ねてこられた、ということは承知をしていますが、地元住民の方が全く中身を知らなかった。私たち県会議員も業者がどのようなものを出すのかわからない、ということです。これはぜひ、情報提供を進めるべきだと思います。奈良市の開発指導要綱によると、土地と建物を一体に工事する場合は、事業者と住民との協議が必要、とのことです。この奈良市の開発指導要綱に基づく協議は行うのか?それからパブリックコメント、これも行うのか?
荒井知事による答弁:
今、いろいろとおっしゃられた手続き的なことは、何をするこれをすると言うのは、この趣旨に鑑みまして、公園のたたずまいを維持してパブリックな明るい利便施設をつくるという趣旨を考えまして、手続きは確認して、先生の方にご説明させるようにしたいと思います。
(荒井知事の答弁では今後の事業者と住民の協議やパブリックコメントについて、明確な回答はなし)
③ 文化財保護法について
宮本議員からの質問:
奈良の魅力はどこにあるのでしょうか。都市のすぐそばに、鹿と戯れることができる自然があり、1300年前の本物に触れられる静かな環境こそが、世界のどこにもない魅力ではないでしょうか?
今から60年前にも、同じ場所に国際ホテルを誘致する計画がありましたが、最終的には文化財保護の観点から国の文化財保護委員会の許可がおりず、断念に至っています。奈良公園におけるこれまでの開発の経緯を振り返り、今回の開発をどのように考えるのか?
荒井知事による答弁:
当時は昭和39年の東京オリンピックに沸き、全国各地で大型のインフラ整備が行われていた時代。当時の国際ホテル建設計画は、地上4階、地下1階で200人収容のホテルを建設する計画であった。この時は、さすがにこの計画は受け入れられず、中止になったものでございます。今回の計画は、そのような計画とはまったく似てもにつかない計画。
日本の宝、世界の宝「奈良公園」を高級ホテル建設から守りましょう!
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